淡水赤潮をつくるP.bipes の細胞は30~40μmと比較的大きいため、容易に分離回収することが可能です。市販のドラム式濃縮装置と脱水装置を組み合わせた方式で、P.bipes を分離・回収できることが実証されています。 赤潮を消滅させるには赤潮生物の増殖量を超…
ダム湖では下流側の河川の正常な流量を維持するために、一定量の放流をおこなっています(維持放流)。多くのダム湖では固定取水施設を設備しています。このような施設では貯水量が変化すると取水する水深が変化します。選択取水施設であれば、常に表層水を…
河川から流入する栄養物質の量は河川流入水量に左右され、流量が多いと湖内に供給される栄養物質の濃度は指数関数的に高くなります。これは掃流効果と呼ばれ、高流量時に流域や河道内に溜まった栄養物質が一度に流れ出すことで起こります。 洪水時の水をダム…
河川上流に建設された富栄養化していないダム湖において、赤潮が発生する原因は以下のように説明できます。 (1)春になりダム湖の水温が上昇しはじめると、シストからの発芽が起こり、細胞分裂によって栄養細胞が出現し、越冬栄養細胞などと一緒に増殖をは…
赤潮生物の増殖の過程を数式で表現できれば、赤潮形成の過程や形成要因を明確化できます。また防除対策を計画する上からも必要な対策規模の推定や、効果の予測に役立ちます。 主な増殖に必要な要素としては日射(光強度)、水温、そして増殖制限物質濃度が挙…
淡水赤潮を形成するには増殖に必要な物質が供給されなければなりません。AGP試験*により増殖に必要な物質(増殖制限物質)を推定すると第1の増殖制限物質はリン、第2は窒素であることがわかりました。 これらの物質のダム湖への供給源を推定すると最も大きな…
ダム湖での淡水赤潮の発生には赤潮生物の持つ運動性と、ダム湖特有の風や湖流が関係しています。 ダム湖では昼間は陸上が温かいため、湖面から陸上(上流)に向かう谷風が吹きます。 上流の河川水流入部では、河川水温は湖水表面水温より低いため、若干深い…
P.bipesは二分裂で増える無性生殖期(春~秋)と、配偶子を作って接合し、シスト(休眠接合子)となって越冬する有性生殖期(冬)を繰り返します。このような無性、有性生殖のパターンは渦鞭毛藻類に普通にみられるものです。 あるダム湖での赤潮発生時期の…
現在ダム湖で淡水赤潮をつくる生物としては、渦鞭毛藻綱に属すPeridinium bipesが圧倒的に多くなっています。 大きさは30~40μmで、湖沼に生息するプランクトンの中では比較的大きい種類です。このため、湖に生息する動物プランクトンに捕食されにくい種類と…
公表されている公的機関のダム湖の赤潮時発生状況からみると、現在もダム湖の淡水赤潮は発生しているようです。 赤潮が発生すると湖水の色が茶褐色に変色します。また湖面に薄い膜状の赤潮の塊が漂う場合もあります。 ダム湖での淡水赤潮の発生 ダム湖での淡…
瀬戸内海と琵琶湖ではいろいろな対策によって赤潮の発生日数は減少傾向にあります。このうち瀬戸内海での減少は主に大阪湾での減少が大きいようです。琵琶湖では淡水赤潮はほぼ無くなりました。赤潮の発生を左右する栄養塩濃度(リン濃度)は対策によって漸…
高度成長の時代(1960~70年代)に沿岸開発や湖沼流域の人口増加に伴って、赤潮が多発するようになりました。 これを解決するために流域からの排出物質の総量規制(1979年~)やメーカーによる洗剤の無リン化(1985年)、さらに下水道の整備が進められ、赤潮…
付録として魚卵に混じって採取される、ホタルイカモドキ科の1種の卵とふ化幼生を掲載します。ホタルイカのなかまです。 これで魚卵とふ化仔魚の写真図鑑は完了しました。 ホタルイカモドキ科の1種の卵とふ化幼生
カレイ目ヒラメ科に属す2種類と1タイプを掲載します。知られているヒラメ科の卵はすべて油球を1個持つタイプです。卵やふ化仔魚の卵黄、油球、体側、膜鰭には黒色素、黄色素胞が分布します。帰属の不明な1タイプは卵膜に疣状突起が1つある珍しいものです。 …
カレイ目、ダルマガレイ科のナガダルマガレイ属の1種を掲載します。油球を1個持ち、卵黄に細かい亀裂があるのが特徴です。また、ふ化仔魚の体側や膜鰭には橙色素胞のみが出現します。同時期に出現する稚仔魚との外部形態の連続性から種類を推定したものです…
カレイ目に属す、カレイ科6種類を掲載します。カレイ科の多くの卵は油球を持ちません。油球を1つ持つ種類としてはメイタガレイが、油球をたくさん持つ種類としてはドロガレイが知られています。カレイ科卵は、卵内発生期間中から卵黄、体側に黒色素や黄色素…
カレイ目に属すウシノシタ科の3種類の卵とふ化仔魚を掲載します。科以下の種類名はわかりませんでした。 Cynoglossidae sp. No.1~No.3 ウシノシタ科の1種 No.1 Cynoglossidae sp. No.1 ウシノシタ科の1種 No.2 Cynoglossidae sp. No.2 ウシノシタ科の1種 No…
カレイ目のうち、ササウシノシタ科に属するセトウシノシタの卵とふ化仔魚を掲載します。ウシノシタ類の卵は、知られている種類のすべてがたくさんの油球を持つのが特徴です。ササウシノシタ科の卵のうち知られている種類の多くは卵形が他のウシノシタ類に比…
スズキ目のうち油球をたくさん持つタイプ(多油球卵)や油球を持たないタイプ(無油球卵)を3種類掲載します。 ハタンポ科の1種 Pempheridae type ,ミシマオコゼ科の1種 Uranoscorpidae sp. ,ネズッポ科の1種 Callionymidae sp. ハタンポ科の1種の卵とふ化…
スズキ目に属し、油球が体の後方に位置する種類のうち、3種類のタイ科の卵とふ化仔魚を掲載します。タイ科と他の魚種との識別は、卵内発生期では困難です。しかし、ふ化仔魚の体側に出現する黄色素胞の分布が特徴的です。卵径、油球径、ふ化仔魚の色素分布や…
油球が卵黄の中央、または後方に位置するタイプを6種類を掲載します。 ヒイラギ属の1種 Nuchequula sp. ,シロギス Sillago japonica ,アカアマダイ Branchiostegus japonicus ,キジハタ Epinephelus akaara ,メジナ Girella punctata ,トラギス科の1種 …
油球が卵黄の前方に位置するタイプのうち、ベラ科の卵とふ化仔魚を掲載します。ベラ型の卵は類似したものがたくさん出現します。ここでは特徴的な3種類を選びました。ベラ科の卵とふ化仔魚には黒色素胞のみが出現します。卵黄には亀裂がなく類似するヒメジと…
スズキ目に属す種類は多様です。このため幾つかに分けて掲載します。ここには油球が卵黄の前方に位置する7種類(ベラ科を除く)を掲載しました。 スズキ Lateolabrax japonicus ,マアジ Trachurus japonicus ,アジ科の1種 Carangidae sp. ,ヒメジ Upeneus…
カサゴ目に属す3種類の卵とふ化仔魚を掲載します。卵は1つの油球を持つタイプや、油球を持たないものがありますが、ふ化仔魚の胸鰭の発達が早いこと、卵黄、油球、体側、膜鰭、胸鰭に黄色、黒色素胞が多数出現するのが特徴です。 ハオコゼ Hypodytes rubrip…
ボラ目に属す2種類の卵とふ化仔魚を掲載します。ともに卵径に対して油球径が相対的に大きく、黄色と黒色素胞が卵黄、油球、体側にたくさん出現するのが特徴です。 セスジボラ Chelon affinis ,メナダ Chelon haematocheilus セスジボラの卵とふ化仔魚 メナ…
タラ目の1種を掲載します。種名は不明です。 タラ目の卵とふ化仔魚
ヒメ目に属すエソ科2種類の卵とふ化仔魚を掲載します。ともに油球がないのが特徴です。トカゲエソの卵膜は滑らかですが、ワニエソの卵膜には亀甲模様状の構造物があります。 トカゲエソ Saurida elongata , ワニエソ Saurida wanieso トカゲエソの卵とふ化…
多様なウナギ目の卵が出現しますが、ここではそのうちの1種類を掲載します。ウナギ類の卵の特徴は卵径が大きく囲卵腔が広く、ふ化後比較的早い時期から鋭い歯が出現します。また相対的に体高が高いのが特徴的です。 ウナギ目の1種の卵とふ化仔魚
4種類のニシン目の卵とふ化仔魚を掲載します。マイワシとコノシロはよく似ていますが、カタクチイワシは長球形卵です。ウルメイワシには油球がありません。 マイワシ Sardinops melanostictus ,コノシロ Konosirus punctatus ,カタクチイワシ Engralis jap…
海には季節ごとに多種多様な浮遊性の魚の卵が出現します。ここに掲載する写真は海洋を浮遊する魚の卵を生きた状態で撮影したものです。また卵からふ化した仔魚も併せて掲載しました。 写真は1970年代に生物顕微鏡に装着したフィルムカメラで撮影したものです…