2.5. 淡水赤潮の形成要因 (2)増殖に必要な物質

淡水赤潮を形成するには増殖に必要な物質が供給されなければなりません。AGP試験*により増殖に必要な物質(増殖制限物質)を推定すると第1の増殖制限物質はリン、第2は窒素であることがわかりました。

これらの物質のダム湖への供給源を推定すると最も大きな供給源は流入河川でした。この河川の流域には人家や工場等はなく、リンや窒素は山林から流れ出したものになります。

AGP(Algal Growth Potential)試験:対象とする湖沼等の水から生物を除去(ろ過)し、この水に別に培養したPeridiniumを一定量接種します。ろ過湖水には、無添加、窒素源(たとえば硝酸態窒素)のみを入れる、リン源(リン酸)のみを入れる、両方を入れる試験区をつくり、一定期間同じ温度・光条件で培養します。培養器中のPeridinium細胞数を計数することで、大きく細胞数の増えた試験区に添加した物質がPeridiniumの増殖に必要なものであることがわかります。

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増殖制限物質の推定

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増殖制限物質の供給源