4.15. 地球環境農場のイメージ(3)太陽電池設置による施設園芸のエネルギー収支

162m^2の 温室屋根面に光透過型太陽電池を遮光率20%となるように設置した場合の年間発電量は12,489kWhとなります。

太陽電池は機材設置エリア(温室の北側)と屋根面の縁辺部に密に配置しました。機材設置エリアは通常温室の北側にあり、そこでは作物栽培をおこなわないため、太陽電池を密に設置しても作物への影響はありません。屋根面縁辺部に太陽電池を密に設置するのは、温室外壁フィルムを光拡散フィルムにした場合、光の温室外への拡散を小さくするためです。このように太陽電池を設置すると、栽培エリアの遮光率は20.3%となります。太陽電池の最大出力は12.4kW(168W太陽電池74台,光透過率30%)となります。

温室暖房で消費される電力は設定温度を12℃とした場合、年間で11,500kWh (4.14.)となり、年間を通してみると太陽電池を設置することでほぼ消費エネルギーをゼロにすることが可能となります。しかし、外気温度が低い場合、暖房消費エネルギーは大きくなります。また作物によって設定温度が異なります。

太陽電池の設置により、日射量が20%程度減少します。温室で栽培される作物は一般的に販売単価の高いものが多く、太陽電池の設置により生産量が低下すると収益性は大きく低下します(4.11. 農地でのソーラーシェアリングによる収益性)。

このため、施設園芸において地球環境農場を実現するには、太陽光発電を行いつつ収益性が低下しない方法を考える必要があります。

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温室屋根面への太陽電池の設置とエネルギー収支の試算