4.5. 太陽電池の設置による作物への影響

温室に光透過型の有機薄膜太陽電池を設置し、太陽電池による遮光に伴う作物(トマト:桃太郎ヨーク)の生産量への影響を調べました。秋から冬にかけては温室内に86台(遮光率,18.1%)、春から夏にかけては106台(遮光率,23.6%)の太陽電池を設置しました。温室内の水平日射量をみると(太陽電池設置温室/対照温室)の比率は、秋冬条件で84.7~87.1%、春夏条件で80.9%となりました。
秋から冬に栽培したトマトの生産量は太陽電池設置温室で少なくなり、対照温室の88%となりました。春から夏に栽培したトマトの場合では94%となりました。しかし、可販果実重量(販売可能な果実の重量)は太陽電池設置温室で栽培したトマトのほうが多くなり、太陽電池設置による遮光による効果がみられました。対照試験区では強日射の影響を受けて裂果や尻腐れ果が多くなりました。
秋から冬の日射が弱くなる条件では太陽電池の設置による日射量の減少が果実の生産量に影響します。春から夏の日射の強い条件では、太陽電池の設置による遮光効果により可販果実量が増加することがわかりました。

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有機薄膜太陽電池を設置した温室

 

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太陽電池設置温室と対照温室での水平日射量の比較