3.1. 海洋深層水の特徴

海洋では概ね水深100mまで(表層と呼びます)太陽光が透過します。このため表層では太陽光(太陽エネルギー)によって水温が高く、季節によって変化します。表層混合層は概ね水深150m付近まで到達します。水深200m以深では太陽光が届かないため低温で、かつ温度変化が小さくなります。

太陽光の透過する表層では植物プランクトン光合成をおこない、有機物が作られます。水深200m以深では太陽光が透過しないため、光合成がおこなわれません。この結果、表層では有機物が多く、深層水では少なくなります。深海では植物プランクトンの死骸等が沈降する過程で分解され、栄養塩濃度が高くなります。

炭酸(CO2)は大気から海洋に流入し、光合成によって表層で有機物になりますが、深い層では分解され無機炭酸になり、高濃度になります。

このようにして、水深200m以深の海洋深層水は低温安定性を有し、清浄性(有機物が少ない)と富栄養性(栄養塩濃度が高い)等の特性をもつ海水となります。

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海洋深層水の特徴