4.1. 将来の電源

地球温暖化防止対策の一環として、2050年代には先進国のCO2排出量を80%削減することが求められています。電力分野では原子力発電所を増設し、それらの稼働率を上げることでCO2排出量の削減に貢献する方針でした。しかし2011年の東日本大震災とこれに伴う福島原発事故により、この方向性は失われました。
この結果、再生可能エネルギーを主体とした電源構成に替わろうとしています。電力分野から排出されるCO2を将来20%に減らすには、火力発電による発電量を20%以下にする必要があります。原子力発電の比率を20%で維持するとすると、それ以外のCO2を排出しない発電方式を60%以上にする必要があります。
電力分野におけるCO2排出量の削減方針としては、(1)電源構成において、再生可能エネルギーの比率を50%(大規模水力を入れると60%)にあげる方向性と、(2)再生可能エネルギーを30%程度とし、火力発電(40%)の半分をCCS*CO2 Capture and Storage)方式とし、火力発電所から分離・回収したCO2を地中に貯蔵する方式が考えられています。
再生可能エネルギーの増加は利益(売電収入)を生みますが、CCSによるCO2の地中貯留はコスト(分離・回収と貯蔵費用)がかかります。一方で、再生可能エネルギーの不安定さを補うには、火力発電等の安定した予備電源や大容量の蓄電技術が必要となります。

*CCS:火力発電所や製鉄所では化石燃料を燃やし、その過程で二酸化炭素を排出します。これを分離・回収して地中に封じ込める(貯留する)技術。化石燃料を燃焼後に分離・回収する方法や燃料を事前に改質(H2やCOのみを分離)し、燃焼させる技術があります。

 

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将来の電源