3.3. 海洋深層水の大量取・放水の影響と効果

海洋深層水を火力発電所の冷却用海水として利用した場合、60万kW級火力発電所で約100万m^3/日の深層水を取水することになります。年間を通じて低温な海水を冷却水として利用することで発電効率が向上し、発電所のCO2排出量の削減が期待されます。冷却用海水として使用した場合、海洋深層水は10~15℃程度昇温します(太平洋側では20~25℃になります)。

これを海洋に放流した場合、温排水の量が減少します。また、沿岸部に放流した場合は、その富栄養特性を利用して海藻・草類の繁殖に利用でき、沖合に放流した場合は植物プランクトンの増殖に利用できる可能性があります。取水口側では表層取水に比べて生物の連行量を少なくできることが期待できます。

一方で、栄養塩を豊富に含む深層水を放流することで、海洋の富栄養化が起こる可能性があります。炭酸を多く含む深層水を放流することで、表層水のpHが変化する可能性もあります。

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海洋深層水の大量取・放水の影響